沖縄のパンとコーヒー @OKINAWA COFFEE FESTIVAL 2019

19/03/10

2019年3月10日。時折大粒の雨が降り、強風が吹く悪天候の中、「OKINAWA COFFEE FESTIVAL 2019 」へ行ってきました。2016年10月の初回に続き、2度目の開催となる「OKINAWA COFFEE FESTIVAL」。このコーヒーフェスティバルは沖縄県内のコーヒー文化を牽引している珈琲店店主の皆さんが発起人となり、実行委員会を組織しています。今回の目玉は、台湾のコーヒーシーンとのコラボレーション。台北で発足し、全台湾の珈琲店や珈琲に関わるプロフェッショナルからなる「咖啡老頑童」呼ばれるコーヒーチームに所属する珈琲店11店舗が来沖しました!

そもそも友人と遊びに行くだけで、ブログにかくつもりなど全く無かったのですが、悪天候の中開催される屋外イベントに初めて純粋なお客さんとして参加し、イベントを企画・運営する側にいた者として思うことが多々あったので、勢いで今、パソコンに向かっています。

会場は宜野座村農村公園。イベント開始の12時頃会場に着くと、すでに駐車場は混みあっていて、大勢のお客さんで賑わっていました。昨日(土曜日)も終日雨だったので、足元はぬかるんで靴はどろどろになること必須。降ったりやんだりころころ変わる空模様を気にしながら、お目当ての飲食店を探します。青山パン祭りでは地図はWEBにデータでアップし、当日は会場に貼り出すだけで、印刷し配ったことがなかった私たち。お店を探して一番に思ったのは…「地図が欲しい!」でした(笑)やっぱり頼れる紙!結局、スタッフさんに「●●どこですか」と聞く始末。あとから確認したところ、OKINAWA COFFEE FESTIVALの公式Facebookページにはデータで会場マップがきちんと公開されていました。運営側の時は、来場者は公式ページで発信する情報をチェックしてきてくれるだろうと希望的観測で進めていましたが、来場者としての行き当たりばったりの私は、運営側の情報を全くキャッチしていなかったわけです(笑)青山パン祭りで大勢のお客さんが今日の私と同じ気持ちになったことでしょう…。ごめんなさいね…。

地図無しにも慣れ会場を探検気分で散策し、友人と手分けして目当てのお店に並びました。首里のカフェ「CONTE」がつくる、読谷村のパン屋「Bakery Suien」の黒糖蒸しパンを使った茹で豚バーガーと沖縄市の自家製ハム・ソーセージ専門店「TESIO」がこの日のために作ったエスプレッソと台湾をイメージした食材を練りこんだソーセージをゲット。俄然、お祭り気分が盛り上がってきました!

その後、気になっていたもののお店に行かずにいたうるま市のパン屋「i+plus」に並び、今日限定のエスプレッソを使った商品を購入。なんと10種類もエスプレッソを使ったメニューがあり、しかもエスプレッソ自体も沖縄のロースター「豆ポレポレ」の3種類の豆を使い分けるこだわりぶり。定番のクロワッサン、パン・オ・ショコラも美味しかったですが、限定商品のクオリティーの高さに脱帽!テントで販売するパンの領域を飛び越えた、料理のようなものばかり。ベーグルは生地の水分量の80%がエスプレッソで、ここまで珈琲のアロマと味わいが感じられるパンは初めて!クロックムッシュも生クリーム入りのエスプレッソの食パンを使用。ほうれん草のベシャメルソースとお肉屋さんのビアシンケンを挟んだ大人の味。ほろ苦さとクリーミーさが口の中で混ざり合う絶妙なバランス。近々お店への訪問をかたく心に誓いました。凄いよ、近藤さん!食材とパンへの情熱と探求心が飛び抜けていることはいろんな方から聞いてはいたけど、実際に食べて感じて驚きました。

「i+plus」以外にも、「宗像堂」「水円」「ぱん工房 おとなりや」「ときはや」など、私の大好きな沖縄のパン屋さんが一堂に集結!「わ~豪華~みんな来るんだね~」と、完全にパン好き感丸出しの私。青山パン祭りとTokyo Coffee Festivalで、厳選したパン屋さんと珈琲店10店舗ずつで何かやりたいね~なんて昔みんなで話していたことを思い出しました。今日のOKINAWA COFFEE FESTIVALは、美味しいパンと珈琲の夢のコラボレーションが実現したイベントだったと思います。飲食が15店、パン・焼き菓子が8店、珈琲が21店(県内)、11店(台湾)は、個人的にもバランスの良い内容だったような気がします。人気店も多く、個性ある出店者さんばかりで、お客さんとしてとてもわくわくしました。

お腹が満たされたところで、ようやく珈琲タイム!県内の友人のお店も多かったので様子を伺いながら、せっかくなので台湾のお店の珈琲を飲んでみることに。まずは「德佈珈琲 Debut Cafe」の飲み比べセットをワンコインで楽しみ、その後サイフォンコーヒーが得意だという「不咖啡 BuCafe 」の列に並びました。待っている間に、「荒天中止って、どこからが荒天?」と思う程雨が降ったりもしましたが、偶然たくさんの友人にも会えたし、知らない人とも交流が生まれたり、何よりコーヒーを一杯、一杯、本当に丁寧ににこやかに淹れてくれる店主さんたちの穏やかな様子がとてもよかったです。機会があれば、高雄の店舗に行きたいと思いました。 すごくいいなと思ったのが、沖縄県内の各店舗と台湾の各店舗が1軒ずつペアになり一緒にブースを持つという形。双方交流が生まれますし、県内の珈琲店の皆さんが積極的に台湾のお店のサポートをされている様子も見受けられました。

今回は参加できませんでしたが、ロースターによるセミナーやドキュメンタリー映画の上映などもあり、今の沖縄のコーヒーシーンが凝縮された週末でした。

そして今日、カミングアウトしますが、私、初めて、パンを買うのに並びました!20分弱だったかと思います。いつもパンのイベントで並んでくださる皆さんに、今日ほど感謝した日はありません。ありがとうございます。買ったパンを食べた時、雨の中並んで本当に良かったと思いました。私たちBREAD LABとして企画・運営をした最後の青山パン祭りもあいにくの雨でした。にも関わらず本当にたくさんのお客さんが来てくださりましたが、あの日の私は正直心配でした。「こんな雨で寒い中列を作り、来てくれて、お客さんたちはきちんと楽しんでくれただろうか…満足してくれただろうか」と。規模を重ねる度に大きくなるイベントと、世の中の異常なまでのパン熱に疑問を感じ、パン屋さんとお客さんの間にいるパンの食べ手として、一体何を伝えるべきで、実際何が伝えられるのか、何が自分たちに出来るのか悩んだ時期もありました。イベントで遠方のパン屋さんのパンや、各地のパン屋さんのパンが一度に買えるのは嬉しいことだとは思うけれど、個包装し、シールを貼り、パンを運ばずとも、お店へ行った方が美味しいパンが食べられるという事実と自分たちが主催するイベントの矛盾に対する葛藤もずっと抱えていました。

でも、お客さんとして参加した今日、総じて楽しかったです。「ああ、今日来てよかったな。美味しかったし、楽しかったな。」と。愛のあるイベントは楽しい記憶になるのだということをリアルに実感し、私たちが積み重ねてきた日々も、誰かの美味しい思い出になってくれているならそれでいいのだ、とようやく心から思えたような気がします。

もちろんどのイベントにもあるように、完売問題や列の整備、飲食スペースの確保など大小さまざまな問題はありますが、それでも良いイベントだったと思います。それはきっと、主催者の皆さんや、参加したお店の皆さんの情熱あってこそ。裏側を知っているからこそ、どれだけの時間と愛と労力が必要か、少しはわかるつもりです。今日は家族連れも多く、はしゃぎまわる子供たちの中には裸足でどろんこの子もちらほら。決して気持ちの良いお天気ではなかったけれど、流れる空気は重苦しくなく、むしろ楽し気に私の目にはうつりました。このハッピーな空気は、そこにいるみんなで共に創り出すもの。主催者だけが頑張っても、お客さんたちなしには成立しないのがイベントです。

OKINAWA COFFEE FESTIVALの次回開催、そして沖縄とアジアのパンとコーヒーの未来が楽しみです。BREAD LABも微力ながら、いつか何かで貢献できたらいいな。皆様、これからもよろしくお願いします。

 

BREAD LABの今まで開催したイベントへ足を運んでくださった皆様に心からの感謝を込めて。

BREAD LAB 入江葵

おまけ↑ 大人なのに裸足だった大森姉妹。楽しそうですね。イベントの醍醐味はみんなの笑顔が見れること☺