CRAFT BAKERIES in Paris 2018 ⑤

18/10/24

メトロのLedru-Rollin駅から歩くこと数分。気持ちの良い公園の向かいにある、シックな黒いひさしの小さなお店の前に集まるたくさんの人。パリ滞在中、たくさんの美味しいものに出会いましたが、食べた直後に「あと3個食べたい!!食べられる!!」と、感激したのが「Blé Sucré」のクロワッサン!観光客はもちろん、地元の人々からも定評がある一軒です。この日もお店の外まで行列が出来、イートインのテラス席も満席で噂通りの人気ぶり。

数々の有名ホテルでパティシエとして活躍したFabrice Le Bourdat(ファブリス・ル・ブルダ)さんが、長年の夢を叶え「Blé Sucré」をオープンしたのは2006年のこと。ホテルでキャリアを重ねる日々の中で、厨房とお客さんとの距離を感じ、お客さんの反応をもっと近くで感じたいという思いから、パティスリー開業を決意したそうです。2017年にオーナーさんが変わったようで、私は今回初めて訪れたので以前との比較はできませんが、とにかく今回食べたクロワッサンがとても好みで、とっても幸せな気持ちになったのでお伝えします。

店名の「Blé Sucré」は「甘い小麦」の意味。その名の通り、小麦を使ったお菓子とヴィエノワズリが自慢のお店です。店内には、旬の素材を使ったものから伝統的なものまでバリエーション豊かな30種類ほどのお菓子と厳選されたパンが並び、あれよあれよという間に売れていきます。テラス席でクロワッサンを食べるもよし、コーヒーと共にテイクアウトして向かいの公園で楽しむもよし、大切な日に特別なケーキを頼むもよし、その日のおやつを探すもよし。「日々の美味しいしあわせ」が、この小さなお店にぎゅっと詰まっている気がしました。

混みあっていたので、お土産用に焼き菓子を数種類選び、ささっとお目当てのクロワッサンとコーヒーを注文。向かいの公園のベンチで朝ごはん。

ころんとしたフォルムが可愛いクロワッサンは、手に持つと驚くほど軽い!外はサクッと歯切れ良く、中はフワッと空気をたっぷり含み、生地の口溶けの良さにうっとり。バターの香りがじゅわっと広がりはなやかでありながら、後味はすっきり。旨味の余韻がじんわりと続いてパラダイス。何なんでしょう、この食感。ふぞろいで細かな層が生み出すこのクロワッサンの美味しさ…。「毎朝食べたい…。次のパリでは近くに宿を取ろう…。」と、ぼそぼそつぶやきながら夢見心地でした。

右が「Blé Sucré」の絶品クロワッサン。そして左が、「Boulangerie bo」のCriossant Chocolat Framboise です。鮮やかなピンク色がパッと目を引く美しいクロワッサン。フランボワーズの甘酸っぱさとチョコレートの甘さ、バターの香りの三重奏。しっかりと生地を噛んで味わうタイプのクロワッサンで、表面はザクザク。こちらの2店舗は歩いて5分程の近距離にあるので、ぜひはしごしてみて欲しいです。

大通りから一本入った落ち着いた通りの一角にある「Boulangerie bo」は、2014年にパティシエのOlivier Haustraeteさんと元会計士のBenoit Gindreさんが始めました。店名の「bo」はお二人の頭文字を取ってつけたそうです。それにしても、職人さんと会計士さんとは、お店を始めるにはぴったりの組み合わせですね。

元々パン屋さんだった物件を買い取りお店を始めたそうで、華やかな外観と内装は引き継いだもののようです。レジ後ろのスペースには大きなパンが並びます。「Boulangerie bo」は素材選びにもこだわっており、オーガニックの粉を使いパンを焼いているそうです。そういえば、昨年、BREAD LABえりかがBlancの皆さんとパリを訪れた際に、オリヴィエさんに厨房を見せてもらっていました。(その様子はこちら。)

元々パティシエさんということもあり、ショウケースはカラフルなケーキやお菓子類が豊富に並んでいて宝箱のようでした。私は生粋のパン狂いなので、ヴィエノワズリは大好きでもケーキ、特に生菓子のケーキへの関心が薄く…写真も失念していてごめんなさい。)

 

今日ご紹介した2店舗は、有名なアリーグル市場やバスティーユ広場も近く、注目の飲食店も多いエリアなので、パン屋さんに立ち寄りながらの街歩きがおすすめです。お店ごとの特徴を楽しみながらパン屋さんを巡り、お気に入りのクロワッサンに出会えたら、きっととっておきの一日になるはずです。

 

AOI

 

おまけ

初めて私がパリを訪れた6年前、真っ先に向かったのが「Du Pain et Des Idées」でした。初めてパリで食べたヴィエノワズリ。あの時食べたエスカルゴの美味しさを、今でも鮮明に覚えています。その後、日本でもChristophe Vasseurさんの手掛けるお店が出来ていますが、やはりパリのお店は特別だと思います。今回の滞在では、私はお店に立ち寄らなかったのですが、ルームメイトのゆきちゃんが買ってきてくれて、ふたりで朝ごはんにしました。丸ごとかじるエスカルゴが最高!と思っていたけれど、2人でシェアするエスカルゴも最高でした。ありがとう。