Atelier JUJU USA

繊細で美しい自家製酵母をアメリカへ

「Atelier JUJU(アトリエ・ジュジュ)」は店舗がない。自家製酵母の世界に魅せられた1人の日本人女性の情熱から始まった、小さなパンの物語から生まれた屋号のような名前だ。

10数年前、Junko Mineさんは留学先であったシアトルに惚れ込み、シアトル北部のラミ島に移り住んだ。そこで、島で採れた食材を使うレストランの食事係になり、身近な食材で美味しい料理をつくることに喜びを感じながら過ごすしていた。そんな折、友人の紹介で「畑のコウボパン タロー屋 」の存在を知る。瓶に入った鮮やかな酵母の写真を一目見て感動し「私も身近な素材から酵母を起こしパンを焼きたい!タロー屋さんで勉強したい!」という直感が全身を駆け巡り、いてもたってもいられなくなり、彼女は「タロー屋」店主の太郎さんに連絡を取った。彼女の溢れる熱意に、太郎さんは首を縦にふるという選択肢以外考えられなかったと当時を振り返る。

こうしてJunkoさんは2014年1月、シアトルから7700キロも離れた北浦和の「タロー屋」で酵母について学ぶ機会を得た。「素晴らしくエキサイティングな1週間だったの!」と話す彼女の笑顔を見ているだけでこちらまで元気になってしまうから不思議だ。

興奮と技術、そしてあたたかな絆を手にシアトルへ帰り、早速様々な酵母を起こしパンを焼いてみた。アメリカンチェリー、エルダ―フラワー、ダグラス松、薔薇…。その土地の季節を感じながらパンを焼くことはこの上ない幸せだった。「酵母パン」を仕事にしたい、という思いが強くなるが、「酵母」より「麦」に重きを置くアメリカでは、時間もお金もかかる自家製酵母でのパン作りは理解してもらえなかった。それでも、諦めることなくパンを焼き続けた。ある日1人の女性シェフが「私のレストランでパンをサーブしないか」と、声をかけてくれた。情熱と興味が形になった瞬間だった。

こうしてJunkoさんは今日も「 カフェ・ワニタ 」で、ペストリーシェフとして今日もパンを焼いている。愛する土地の季節の味を詰め込んで。

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「CRAFT BAKERIES」をつくるにあたり、タロー屋の太郎さんが繋いでくださった、Junkoさんとの出会いは本当にかけがえのないものでした。見ず知らずの私たちをあたたかく迎えてくださり、ワシントンでの私たちの取材に全面的に協力してくださりました。Junkoさんのおかげで、The Bread Labの存在を知り、その素晴らしさに感動したことから、私たちは尊敬の意を込めて「BREAD LAB」という名前を借りて活動を始めました。大好きなパン屋さんとパンが繋いでくれた奇跡のような出会いに改めて感謝したいと思います。いつか日本の皆さんにも、Junkoさんの焼く美味しいパンを食べてもらいたいなと思います。心からありがとうございます。

Photo by: Rika Manabe Photography, Junko Mine

Atelier JUJU(アトリエジュジュ)

住所:※店舗はありません。
URL:http://www.junkomine.com/