CEYLON 神奈川県

スリランカ愛にあふれるとっておきのシナモンロール

小田急線・向ケ丘遊園駅から徒歩10分弱。パッと目を引くオレンジ色の壁が目印の小さなお店が「CEYLON(セイロン)」だ。決して便利な場所ではないのに、連日開店前からお客さんが列をなす。皆のお目当ては、シナモンロール。「CEYLON」のシナモンロールを初めて食べた時、口の中に広がりふわりと鼻に抜けるその芳醇で華やかなシナモンの香りに思わずうっとりしたのを、私は今でもよく覚えている。シナモンロールの概念が変わった瞬間だった。

店主・森 麻里子さんがこの地に「CEYLON」をオープンしたのは2012年。営業日は週に4回。こだわりのシナモンロールを全てひとりで約12時間かけて丁寧につくり、自ら販売も行うため、1日100個をつくるのが限界だという。定番のプレーンに加えて、日替わりで数種類のフレーバーが店頭に並ぶ。

幼い頃からお菓子が大好きだった麻里子さんは、高校を卒業後、日本とフランスの製菓学校で本格的にお菓子づくりを学んだ。その後、洋菓子店でパティシエとして経験を積むうちに、「ひとつの食材の味をよりシンプルに見つめなおしたい」という思いが強くなったという。そんな時、中国茶専門店で喫茶を担当することになり、製法や淹れ方で味わいが変化していく「お茶」の世界の面白さに魅了された。次のステップを模索している時に、通勤中の電車で見つけた広告がきっかけで、2005年から青年海外協力隊としてスリランカで2年間を過ごすことに。パティシエとして現地の食品加工研究所で製菓技術を指導しながら、食文化の違いに困惑しつつもレシピ開発にも携わった。帰国後は、外資系のチョコレート店で5年間ショコラティエとして勤務。独立を考えだした時に真っ先に思い浮かんだのが、スリランカで惚れ込んだ「セイロンシナモン」を使ったお菓子のお店だった。「セイロンシナモンの良さを1人でも多くの人に伝えたい」という想いで開業を決意してからオープンまでわずか1カ月半。麻里子さんの想いが「CEYLON」という形になった。

シナモンロールの主役は有機の「セイロンシナモン」。世界最高と称されるスリランカの「セイロンシナモン」の上品で優しい甘さと豊かな香りを最大限にいかしたシナモンロールは、約10cm四方のキューブ型。ひとつひとつ特注のキューブ型に入れて焼き上げている。特別感や可愛らしさがあるだけでなく、四辺からほどよく水分が逃げていくこの形が理想の食感を生みだす。生地は水を使わず豆乳で仕込むため、滑らかで舌の上で溶けるよう。オープン以来、麻里子さんは年に2回、スリランカのシナモン農園に足を運ぶ。シーズン毎にベストな状態のシナモンを実際に自分の目と舌で確認し、お客さんに届けるためだ。この情熱と行動力が美味しいシナモンロールをつくっているのだと思う。(シナモン農園での様子はこちら )

スリランカで過ごした2年間を、「かけがえのない時間だった」と、麻里子さんは振り返る。異国の地でゼロからのスタートだったにも関わらず、帰国時にはスリランカ愛に溢れる自分がいた。「私自身がスリランカに成長させてもらったので、たくさんの人にスリランカの魅力を知ってもらうことで恩返しをしていきたい」と、笑う麻里子さんはどこまでもチャーミング。強い意思と愛を感じさせながらも、やわらかな空気を纏った稀有な人。

今日も麻里子さんは、大好きなスリランカを詰め込んだとっておきのシナモンロールでみんなに小さな幸せと笑顔を届けている。

スリランカ愛がお店中に溢れているので、ぜひ体感してくださいね。

CEYLON(セイロン)

住所:神奈川県川崎市多摩区登戸1813
電話:044‐911‐9017
営業時間:火・水・金(14:00~)、土(11:00~)※売り切れ次第終了 【祝日休み。個数制限あり。】
URL:http://ceylon.jp/