こんにちは。
先日スリランカのパンあれこれの記事をかきましたが、今日はセイロンシナモンについてのお話です。
2018年1月初旬、ご縁があって、私は初めてのスリランカ旅で、シナモンロール専門店「CEYLON 」の店主・森 麻里子さんのシナモンの買い付けに同行させて頂きました。「CEYLON」のシナモンロールは大好きだけど、正直シナモンに対する知識はほぼ皆無だった私。初めてのシナモン農園は驚きと感激の連続でした。「スパイスの王様」とも言われるほど栄養が豊富で、その魅惑的な香りがたまらない「シナモン」の秘密に迫ります。
まずはこちら。見渡す限り一面の緑の木。実はこれ、全てシナモンの木!!!とても美しい光景です。
そもそも「シナモン」とは、クスノキ科の常緑樹で、スパイスとして使用されるのは樹皮。この樹皮をはがし、乾燥させたものを私たちは目にしているわけです。
シナモンは大きく分けると「シナモン」「カシア」「ニッキ」の3種類に分けられますが、スリランカで育てられているのは「セイロンシナモン」。厳密に言うと、「シナモン」と呼べるものはスリランカ産の「セイロンシナモン」のみだそう。柔らかで繊細な甘みのある香りが最大の特徴で、コルク層を除いてから、樹皮を数枚重ねて丸め乾燥させたとても手間のかかるつくり方。世界的にもっとも品質の良いシナモンが「セイロンシナモン」と言われています。一般的にシナモンの名前で多く出回っているのは「カシア」という樹木で、中国やベトナムなどで栽培され「ジャワニッケイ」「シナニッケイ」「サイゴンシナモン」と呼ばれるものです。世界のシナモン生産量の7割以上をインドネシアと中国のシナモンが占めており、次いでベトナム、そしてスリランカという数字からも「セイロンシナモン」の貴重さが伺えますよね。
そんな「セイロンシナモン」の中でも、最高級クラスのシナモンを無農薬で育てる農家さんにお邪魔しました。(スリランカでは国がシナモンを質により、4つのグループに分け格付けしています。)
↑シナモンの状態をチェックする麻里子さんとこの日の案内人・農園園主の弟さん。
2005年から2年間を青年海外協力隊としてスリランカで過ごした麻里子さんは、今でも年に2回、こうして直接現地のシナモン農家さんを訪れ、シナモンの買い付けをしています。何のつてもないところから自ら農家さんを探し100軒以上の農園に連絡を取ったという行動派。最初は断られることも多かったそうですが、今では信頼のおける農家さんと定期的に交流し、約20軒の農園からシーズン毎にベストの状態のシナモンを仕入れています。
訪れた時期はスリランカでは乾季。年間を通してみるとシナモンの状態としてはベストの時季ではないそう。ところどころ赤く色づいている葉が見られましたが、これは乾燥しているためだと教えてくれました。水がたっぷり補えるようになると、自然と鮮やかな緑色に戻るそうで、なんとも不思議です。
↑樹皮が柔らかかったので爪で削り、中の部分を食べさせてもらいました。濃厚なシナモンの甘い香りが本当に美味しかった!!雨季だと削るだけで樹液が溢れ出てくるそうです。なんと贅沢な!! ちなみに、葉っぱの根本もかじったら美味しかったです。葉を割るだけでも、うっとりしてしまうほどのシナモンの香り。
↑可憐なシナモンの花
私たちが主に食用で使うのはシナモンの樹木ですが、こちらの農園ではスティックよりも更に貴重なシナモンオイルも作っていました。
山盛りに積まれた乾燥させたシナモンの葉が高級シナモンオイルになります。純粋なシナモンオイルはかなり効果効能が強いとのこと。アーユルヴェーダに基づき、医学的治療に使われることが多いそうです。
↑精油にするのも農園の真ん中で。緑に囲まれたとても気持ちの良い場所。
一通り農園を案内して頂いた後は、ご自宅にお邪魔し麻里子さんは商談の時間。(私はその間、お菓子を頂き、子供たちと遊び、しまいにはソファですっかりくつろいでしまいました。)こちらが、今回買い付けたシナモンスティックとパウダー。
写真にするとわかりづらいですが、大人の親指ほどの太さがあり長さも23~24cmもあるとても立派なシナモンスティックです。
私は、かねてから麻里子さんのシナモンロールが大好きでした。その華やかな香りと、口に広がるやさしい甘さの余韻が格別のシナモンロールで、その美味しさの秘密が「セイロンシナモン」なのだ、とただ漠然と思っていたのです。でも、今回、こうして旅に同行させて頂いて、その美味しさの本当の秘密がはっきりとわかりました。麻里子さんの愛と情熱こそが、みんなを引きつけるシナモンロールの最大の秘訣です。
そもそもシナモンロール専門店自体少ないですが、直接スリランカにシナモンを買い付けに行くシナモンロール屋さんなんて、信じられますか?私はそんな職人さんは、麻里子さんしか知りません。もちろんスリランカからの定期的な発送による仕入れが中心ですが、農園を訪れた際には、約10キロのシナモンが詰まったバックパックを担いで帰国する人なのです。笑っちゃうけれど、(失礼。だってとてもチャーミングな方なのです。)本当のお話です。
麻里子さんと農家さんたちの間には、買い手と売り手という関係以上に、信頼し合う仲間のような家族のような空気感が流れていました。この素晴らしい関係性は、麻里子さんの熱意と長年の積み重ねがあってこそ。「この人たちのシナモンを美味しいシナモンロールにして日本で届けたい。」「この人に私たちの育てた質の良いシナモンを使ってほしい。」お互いが相思相愛だから、モノとしても最上級の「セイロンシナモン」がCEYLONには届き、そこに麻里子さんの愛と技術が加わり、ここにしかないとっておきのシナモンロールが完成するのです。
長くなりましたが、最後は大好きな麻里子さんの笑顔でしめさせていただきます。
農園のお母さんとの一枚です。
スリランカ愛であふれた麻里子さんの「CEYLON」にあなたもぜひ足を運んでくださいね。
麻里子さんがなぜシナモンロール専門店になったのか、、、そのお話しは近日中に「CRAFT BAKERIES」ページで更新予定ですのでこちらもお楽しみに。
Aoi