CRAFT BAKERIES in Paris 2018 ②

18/10/15

前回に引き続きパリのパン日記です。

すっかり沖縄の気温と湿度に慣れていた私はパリの寒さに恐怖心を抱き、ありったけの冬支度をスーツケースに詰め込んだのですが、滞在中のパリは見事に快晴続き!連日、コート無しでも歩くと汗ばむほどのぽかぽか陽気。拍子抜けだったものの、おかげで快適に過ごすことができました。

そんなパリでの朝パン一軒目は、何人もの友人にすすめられ、以前から気になっていたカフェ「Fragments」へ。

おしゃれな人々が行き交うマレ地区に2013年11月にオープンし、瞬く間に人気カフェになった同店。アーティストのギャラリーのような黒い壁の外観はスタイリッシュな印象。しかし、店内に一歩入ると、煉瓦の壁、木製の梁、手作り感のあるカラフルな幾何学模様のカウンターと、ぬくもりを感じさせるあたたかな空間が広がります。

元々は18区でコーヒー店を営んでいたというオーナーのYoussef Louranjliさんは、自慢のコーヒーと共に食事も楽しんでもらいたいという思いから、キッチンスペースがなかったコーヒー店を閉め、ここ3区に食事も提供できる新たな場所として「Fragments」をオープンしたそう。どこかにあるようなカフェを作るのではなく、自分自身の価値観や経験を空間に反映させて、ここにしかない新しいものを作ることを意識したそうで、世界各国の要素が混在する店内からもその個性とこだわりが感じられます。

この日はオーナーさんは不在でしたが、感じの良いスタッフさん(エビ柄のエプロンがとってもキュート!)が英語で接客してくれました。パンや焼き菓子もショウケースから選べます。

広くはない店内ですが、大きな窓から光が射し込み開放感があり、心地の良い空間になっています。私たちは、一番奥の席に座りました。(写真とは逆側も大きな窓で、中庭が見えます。)

黒板には朝食やブランチにぴったりのシンプルなフードとドリンクのメニューがかかれています。フードは「Local」と「Seasonal」を大切に、旬の地域の素材をいかしたものばかり。収穫時期により、オーナー自らがセレクトするこだわりの豆で淹れるコーヒーと共に頂きます。気軽に立ち寄れるコーヒースタンドが日本と比べまだまだ少ない印象のパリですが、ここではエアロプレス、フィルターコーヒー、ラテからエスプレッソまで好みに合わせてコーヒーを選べるのも嬉しいところ。

まずは人気のアボカドトーストとポーチドエッグ。ハーブやスパイスで味付けしたアボカドペーストがたっぷりとのったトーストです。柑橘(多分、ライム?)の爽やかな香りがアクセント。こんがりと焼いたパンのガリっと食感と香ばしさがクリーミーなアボカドと相性抜群で、卵を絡めて食べると更に味が何層にも広がります。

もう一品はスクランブルエッグ。クラッシックなスクランブルエッグは期待を裏切らないふわとろ食感。こってりしすぎず、遠くになんだか魚介の出汁が香るような(さかんに友人が強調してました)やさしい味わい。こちらもパンはアボカドトーストと同じものが付いてきて、バターも添えてあるのでお好みでつけたりのせたりしながら楽しめます。もちろん、食事に合わせてカプチーノ(エスプレッソ2ショットで)も注文。至福のブランチでした。

シンプルで最高の朝食を支える美味しいパンはどこのもの?!と、気になりますよね。実はYoussefさん、まさに今、系列店として「CIRCUS BAKERY」を準備中。ナポリで作られた石窯で焼くピッツァとパンのお店のようで、「Fragments」のInstagramアカウントではその開業までのお店の様子がアップされています。2018年10月8日からはこの「CIRCUS BAKERY」で焼き上げたパンを「Fragments」で使い始めたことを公式に発表しています。私が訪問したのは10月1日だったので、試作段階の「CIRCUS BAKERY」のパンだった可能性が高いのですが、残念ながら真偽のほどはわかりません。ただ美味しかったことは間違いないです。まもなくお店もオープンとのことで、個人的にもとても楽しみです!

 

小さいけれど個性があって心地よい空間。良い素材をシンプルに調理した食事。また通いたくなるお店がもつ魅力は、きっと軽々と国境を飛び越えます。人間は皆「美味しい朝ごはん」が大好きなんだな。

 

AOI

 

おまけ

「Fragments」からすぐの十字路の角に、パン屋さんを発見。そこそこ人が並んでいたので、つられて並ぶ。「Au pain st Gills」という通りの名前がついたパン屋さんだった。この後、私たちはオルリー空港に向かい、ポルトガル・リスボンへの小旅行も予定していたので、旅のおともにバゲットを1本買った。空港での待ち時間、バゲットに板チョコを挟み、3等分してみんなでおやつ。素朴だけど抜群に美味しい。こういう時、「あぁ、パンって身近な幸せだよなぁ」って、ほんとに思う。