遠くから目にしただけで胸が弾むような外観と、愛らしいバゲット型のドアノブ。その向こう側はパンのいい匂いとフランス風の雰囲気でいっぱいの店内。お店に入る前から心を掴まれてしまう。大阪・江戸堀にある「ルルット」は2013年にオープンした可愛らしさがぎゅっと詰まった一軒だ。
オーナーの中岡有里子さんは、パリの名店「ル・グルニエ・ア・パン」や「デュ・パン・エ・デジデ」で濃密な4年間を過ごしたブーランジェ。エスカルゴやブリオッシュなどのヴィエノワズリー、カンパーニュやバゲットは本場の伝統的製法を体得したたまものだ。石臼で粉を挽きつくられたパンは、香り高く、癖になる味わい。日本人が好むと言われる具材が詰まったようなやわらかいパンも並ぶ。
店内はフランスのお皿やカフェオレボウルなど、時を重ねて大切に使われてきた古き良きものが隅々に飾られている。中岡さんの手で生み出されたパンも同じように並べられているところが、こちらの心地をくすぐる。
厨房越しに会話をする中岡さんの無邪気で明るいスマイルがとても印象的だ。
いつものパンを買いに行って、他愛のない話をして、元気をもらってお店をあとにする。そんなお客さんも多いのではないだろうか。