代々木上原の住宅街に「カタネベーカリー」がオープンしたのは2002年。オーナーシェフの片根大輔さん、智子さん夫妻は、まっさらな土地だったこの場所に「カタネベーカリー」と「カタネカフェ」をつくった。毎日こつこつ丁寧にパンを焼く小さなパン屋さんが、街に溶け込むのに時間はかからなかった。今では、休日はもちろん、平日でもお店の外までお客さんが列をなすこともしばしば。この地域で暮らす人々の生活に欠かせない、街のパン屋さんとして愛されている。
「カタネベーカリー」の基本を支えるのは、良いものをたくさんの人に食べてもらいたいという想い。現在は、国産小麦100%でパンを焼く。片根さんご夫妻の、“パンで商売をするという以前に、地域に住むパン屋さんに何が出来るのか”という意識が、誰に対しても開かれたオープンな雰囲気を生み出しているに違いない。約150種類という豊富なメニュー、通いやすい価格帯、早朝から焼き立てパンを提供してくれる気持ちの良い空間、パンと料理を一緒に楽しめるカフェ。私の理想とする“パン屋さん像”のすべてが「カタネベーカリー」にはある。そんなあたたかさに触れ、確かな技術でつくるパンを食べたら、誰だってファンになってしまう。
2016年夏には、「カタネベーカリー」の隣に、雑貨屋さん「アコテ」も仲間入りした。便利なキッチンアイテムや生活雑貨から愛らしいステーショナリーまで、センス良くセレクトされた品物が並ぶ。パンのある生活がより楽しくなりそうなアイテムも豊富にそろう。
地域に愛され、人と人とを繋ぐ、みんなのパン屋さん「カタネベーカリー」。ここへ来ると私は、いつだって幸福な気持ちでいっぱいになる。