2013年7月、世田谷区三宿の閑静な住宅街に「ブーランジュリーボネダンヌ」は誕生した。オーナーシェフである荻原浩さんが開業する際にこだわったのは、フランスでの生活すべてから吸収したエッセンスを表現できる場所であることだ。
小さなパリのブーランジュリーを思わせる可愛い店内の中心は、対面式のカウンター。大きな黒板にはサンドイッチのメニュー。注文を受けてからつくるサンドイッチは、「ボネダンヌ」を訪れたらぜひ味わってほしい逸品だ。フランス語で「伝統」を意味する「トラディション(Tradition)」という名前のバゲットを使い、ハムとバターや、くるみとブリ―チーズなどシンプルな具材を挟んだ素朴なサンドイッチ。バゲット本来の美味しさを感じることが出来るできたてのサンドイッチを頬張ると、自然と笑みがこぼれる。
5年半のフランスでの修業時代、フランスの食文化はお客様・パン職人・食材の生産者との交流の中で育まれる豊かな人間関係に支えられていることを強く感じたという。荻原さんはパンづくりを通して、「温もりと心の豊かさを実感できる生活」を皆と共有することを目指している。パンに込められた想いは、人から人へ伝わっていく。ひだまりのようなあたたかい雰囲気をもつ「ボネダンヌ」は、これからも皆の生活に自然と寄りそっていくのだろう。