食卓に寄りそう「今」を感じられる一皿を

2015年12月、代々木八幡に「PATH」は誕生した。

初めて訪れた冬の朝、カウンターではオーブンに入る前のクロワッサンがふっくらと発酵中だった。水をベースに生地を仕込み、国産バターの香りを引き立たせたクロワッサンはPATHのスぺシャリテ。手動のパイシーターで手折りすることで層が不均一になり、独特の食感を生み出す。パンを焼くのは、パティシエの後藤裕一さん。その日の気温や湿度、風などを感じなら日々調整をし、生きものに向き合うようにパンづくりに向き合う。

名店のレストランパティシエとして腕を磨いた裕一さんと、人気店・ビストロロジウラの店主でもある料理人の原太一さん、2人の進む道が交差し、生まれたのが「PATH」だ。「the path」という言葉には“生き方”“目標への道筋”という意味もある。

「PATH」では、カジュアルな雰囲気の中で、朝食、ランチ、ディナーと時間帯に合わせて本格的な食事が楽しめる。「PATHの一皿を食べて、使っている食材にまで目が向けば嬉しい。」と言う2人の想いは、シンプルで美味しく、素朴でありながら美しいパンや料理に表れている。根底に横たわるのは“つくっているものに寄り添っていく感覚”だ。美味しそうな音や香りに五感を研ぎ澄ませながら、カウンターでクロワッサンとコーヒーをいただく。最高に贅沢な時間だ。