「ルヴァン」のはじまりは1984年に遡る。現在は富ヶ谷と信州上田に2つの「ルヴァン」がある。オーナーの甲田幹夫さんは以来30年以上もの間、自家製種をかけ継ぎながら大切に育て、守り続けてきた。「ルヴァン」のカンパーニュは、酸味と旨みが複雑に混ざり合い、その美味しさはたくさんのファンに知られている。使用する小麦は、栃木、群馬、長野でつくられた国産小麦。どれも甲田さんの知り合いの農家さんがつくったもの。「つくった人の顔を知っていれば、ものをいたずらに無駄にはできない」と甲田さんはいう。パンづくりを通して、大切なものを分かち合うという感覚こそ、甲田さんが守りベイカーたちに受け継がれている想いだ。 「ルヴァン」には、こんなに平和な場所があるのかと思うほどのゆったりとした優しい空気が流れている。スタッフみんなが一つの家族のように笑いあったり、朝の時間は隣接するカフェ「ル・シァレ」でパンを食べていたりもする。その、ごく自然な光景に心がなごむ。「ルヴァン」に溢れる平和は、これからも多くの人々に伝わり、愛されていく。