やま市パン商店 静岡県

浜松駅から鉄道線の遠鉄に乗りほんの数駅、助信(すけのぶ)駅で降りる。

浜松市中区の静かな住宅地、眺めの良い小川と桜の並木道がつづいた先に「やま市パン商店」はある。

2016年春にオープンして以来、地元のお客さんに愛されている街のパン屋さんだ。店主である山市響(ひびき)さんがパン製造のすべてを担う。店頭に並ぶおよそ45種類のパンをひとりで焼いているという。

販売は奥様のりなさんがスタッフさんと共に、元気な声と明るい笑顔でお店を盛り上げる。ひっきりなしにお客さんが入ってくるのも、おいしいパンの為だけではないような気さえするほど、気持ちの良いいきいきした挨拶と接客だ。

広々とした店内には、パンを見渡しやすい奥行きがある棚とサンドウィッチやビバレッジの冷蔵ケース、お店の顔である食パン専用の棚という十分な販売スペース、イートインだけではなくパン教室までできそうな程のテーブル2台、そしてなんと、子供の遊び場までつくられている。パンを買うにも食べるにも、大人も子供もわくわくする空間でついつい長居してしまいそう。

山市さんは午前中にすべてのパンを焼き終える。伺ったこの日も土曜だったが14時前には売り切れた。量を増やさず、自分のペースを守って仕事とつき合っているという。「こども達との時間も大切なので」という山市さんのやさしい雰囲気とやさしい顔をしたパンがぴったりと重なる。

人気のミルク食パンとカフェオレ食パンを中心に、おやつ系のパン、お惣菜パン、食事パンを取り揃える。とりわけ、クラムがふわりと柔らかくて食べやすい生地のパンが豊富だ。

「本当はハード系のパンを焼くのが好きです。でもお客さんによく好まれるようなパンを考えるうちに今のようなラインナップになりました。」と山市さんは言う。

色々な種類のコッペパンを用意し、期間限定でコッペパン屋になるという「コッペパン祭」を開催したりと、オリジナルのポップアップも行う。お客さんに楽しんでもらいつつ、自身が誰よりも純粋に楽しむ。それが誰かに何かを伝える力そのものなのだろう。

浜松の街のパン商店として、これからもみんなが笑顔になれる美味しいパンを届けてくれるに違いない。

やま市パン商店(ヤマイチパンショウテン)

住所:静岡県浜松市中区高林3-8-19
電話:053-471-6132
営業時間:火〜土 9:00~売切れまで