nichinichi 神奈川県

「nichinichi」は新百合ヶ丘の小高い丘の住宅地にある、食パンにこだわりを置くパン屋さん。

やわらかな白と木の色、nichinichiカラーのオレンジ色で整えられた店内には、パンの表情を見て好きなパンを選んでもらえるように、と造られた広くてフラットなパン棚と、ちょっとひと休みできるベンチがあり、温かくやさしい雰囲気のお店だ。

小田急線の通る新百合ケ丘は、建物が大きく、道路も広く、空が広い、とても開放感がある街。お店に向かう途中の大きなカーブのついた坂道を上っていくと、nichinichiの袋を提げて坂を下ってくるほころんだ顔の人々とすれ違う。ゆったりとした街に似合う、幸せな風景を垣間見る。

 

なぜこの地に開業したのかを、パン職人の川島善行さんはこう言う。

「いろいろな家族がいる街を見たけれど、この周辺にはお店というお店が極端に少なくて。自分ができるのは”パン”だけど、もしかしたらこの街に役立つんじゃないか。色々な年代の方がいる中で少しでも何かできれば、と思ったんです。」その想いの通り、オープンして間もないものの、街に暮らす人々がひっきりなしに訪れ、川島さんのつくるパンは人々の毎日の糧となりつつある。

看板メニューになる食パンを考案する際には、そのちょうど良い大きさを図るため、近隣の家族構成の調査もしたという。素材も試行錯誤してたどり着いた「nichinichi食パン」こそが川島さんのパンだ。

ミルクと発酵バターの優しい香りがふわりとする舌触りの柔らかい生地に、焼かずとも食べやすいほどの薄いパンの耳、されど、焼いても食感を楽しめるほどの繊細な耳。一度食べたら忘れないほど美味しい食パン。

生地はふわふわに、パンの耳は薄くしたかったのだそう。「子供のころから耳を食べのこす癖をつけてほしくないから。大人になってもパンをずっと食べ続けてほしいんです。」と毎日のパンに込めた想いを語る川島さん。お話しているうちに、なんだか街の未来を担うパンヒーローに見えてきた。それほど、気さくで明るく熱い気持ちをもった方だ。

 

食パンの他にも あんぱん や クリームパン 、地元の農家さん「いのうえのうえん」さんの野菜を使った しんゆりフォカッチャ や「黒川卵」を使った舌触り滑らかな分厚いだし巻き卵が挟まった サンドウィッチ 、歯切れのよい ミルクフランス など、笑顔にさせてくれるパンがたくさん並ぶ。安心・安全で信頼をおける生産者さんの素材をつかっていて、どれをとってもやさしい顔のパンばかりだ。

nichinichiがここにあれば、子どもからお年寄りまでパンのある暮らしを楽しめる。「訪れるたびにほっとする、家族みんなで安心して食べられる美味しいパン屋さん」として、たくさんの人々とこの街に長く愛されていくに違いない。

Photo by: 間澤智大

nichinichi(ニチニチ)

住所:神奈川県川崎市麻生区万福寺 4-8-4
電話:044-819-6631
営業時間:8:00〜19:00 不定休
URL:https://www.facebook.com/nichinichi.shinyurigaoka/